宮大工は一般の大工と違い、建物の建て方や補修の仕方が違うことが多く、繊細でレベルの高い建築技術が必要です。とても非効率に思われる特殊な技術ですが、千年経っても美しさと強度を保てる建物は宮大工にしか作れません。宮大工は、木材など素材の性質を見極めることはもちろん、施主の要望や設計者の意図を汲み、高い品質と性能等を納期内、予算内に仕上げていくプロの技能者です。神事についての専門知識も必要となります。このことから宮大工という仕事を敷居が高いものと感じる方も少なくはありません。ですが、実際に神田組で働く宮大工たちは、皆、口を揃えて言います。

「作ることが好きだから、宮大工になった」

実際に神田組で活躍している宮大工さんに、宮大工の魅力などについてお話を伺いました。

「木を触るのが好き。
木は無機質なもんじゃないからね」

<宮大工の魅力はなんですか?>

率直に言うと、木を触るのが好き。木は無機質なもんじゃないからね。
温かみがあるんよね。木は生きてるから、丁寧に扱えばちゃんとそれに応えてくれるのが良いね。

<宮大工になるきっかけは?>

元々、僕のお爺さんが職人をしていてね。お爺さんの弟子のところに僕がまた弟子に入ってという流れです。
僕は高校を卒業してからやから、20数年宮大工をしていますね。

<神田組ではどのようなお仕事をされていますか?>

お寺や神社の修繕だけではなく、文化財の仕事や茅葺の民家の修繕もしています。
宮大工の技術を活かした日本家屋の建築もありますね。近年は工場や商業施設や、医療施設などの施工もしています。

<宮大工さんをやりたいという人にアドバイスはありますか?>

こういう職人の世界やから覚えることが多いし厳しいのは厳しいね。でも最初はだれだって、したことのないことは出来るわけがないし一年や二年で出来ることではないから、とにかく手を動かして続けていくこと。
今は住宅やったら機械で加工して現場で組み立てるだけというのが多いけど、宮大工は違う。木の癖がわからんとできへんよ。曲線が多い木とかね、曲線なりにこの木の目をみてとかね。木は生きてるからね。
それを技術で形にしていく。手間のかかる仕事だからこそ宮大工は面白い。神田組に関しては、ベテランの人が多いから若い人にもきてもらったほうが良いね。この技術は次の世代にも繋いでいかないと。